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脂質異常症になる病気

他の病気が原因で脂質異常症になることがあります。これを二次性脂質異常症(続発性脂質異常症)といいます。二次性脂質異常症(続発性脂質異常症)の治療は、原因疾患の治療が重要で優先されます。原因疾患を治療することにより脂質異常症が治癒または改善します。ただし、一部の原疾患は治療しても脂質異常症が十分改善しない場合があるようです。
脂質異常症を起こす病気としては、肥満や糖尿病をはじめとして、甲状腺(甲状腺機能低下症)、肝臓(原発性胆汁性肝硬変症)、副腎(クッシング症候群)、腎臓(ネフローゼ症候群、尿毒症、腎硬化症)、胆道(閉塞性黄疸)、血清たんぱく異常症などの疾患があります。薬の副作用が脂質異常症の原因になることもあります。降圧剤(利尿剤・β遮断薬)、ホルモン剤(コルチコレステロイド、避妊薬、エストロゲン)、免疫抑制剤、角化症治療薬、向精神薬などがあります。
■甲状腺の病気が原因で脂質異常症:甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症は甲状腺の病気で、甲状腺ホルモンが不足して起こります。この病気が原因で、コレステロール値が上がります。橋本病が代表的です。
■肝臓の病気が原因で脂質異常症:原発性胆汁性肝硬変症
35~60歳の女性に発症頻度が高い肝臓の病気です。この病気が原因で、コレステロール値が上がります。
■副腎の病気が原因で脂質異常症:クッシング症候群
副腎(内分泌腺)から過剰にコルチゾール(ホルモン)が分泌されることで起こる病気です。この病気が原因で、コレステロール値と中性脂肪値が上がります。
■腎臓の病気が原因で脂質異常症:ネフローゼ症候群
腎臓のろ過機能が正常に働かないために、尿中にタンパク質が大量に排出されて血液中のタンパク質が減少病気です。この病気が原因で、コレステロール値が上がります。
■胆道の病気が原因で脂質異常症:閉塞性黄疸
胆汁の流出路が塞がることで胆汁の排出ができなくなって生じる黄疸のことです。この病気が原因で、コレステロール値が上がります。。
■病気が原因で脂質異常症:
○糖尿病:血糖値が慢性的に高い状態の病気です。この病気が原因で、コレステロール値と中性脂肪値(TG値、トリグリセライド値)が上がります。
○膠原病:膠原病は、関節リウマチを含む自己免疫疾患かつ結合組織疾患である病気の総称で、女性に好発します。この病気が原因で、中性脂肪値が上がります。
○血清たんぱく異常症:この病気が原因で、中性脂肪値が上がります。

脂質異常症と生活習慣

生活習慣が脂質異常症(高脂血症)を引き起こす、といっても過言ではありません。ライフスタイル(生活習慣)が原因で起こる病気は総称して生活習慣病と呼ばれます。遺伝的な体質が脂質異常症(高脂血症)の原因になることもありますが、脂質異常症(高脂血症)の原因の大部分が食生活や運動習慣や喫煙などの生活習慣です。遺伝的に脂質異常症(高脂血症)になりやすい体質が重なると、高頻度で脂質異常症を発症します。生活習慣のうちで特に影響が大きいのが食生活ですが、運動不足や喫煙も脂質異常症(高脂血症)の原因になります。脂質異常症(高脂血症)と診断されたら、脂質異常症(高脂血症)を引き起こす危険因子を生活から遠ざけて、まずは積極的に食事や生活習慣などの日常生活を改善する対策が必要です。
■脂質異常症の原因:食生活
高カロリーの食事、コレステロール・飽和脂肪酸・糖質などを多く含む食べ物、といった食生活はコレステロールや中性脂肪の増加につながります。心当たりがあるなら、食生活を見直しましょう。
■脂質異常症の原因:運動不足
運動不足は脂質の代謝能力を低下させますから、中性脂肪を蓄積して肥満の原因になります。運動は、血液中のコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)を減らして肥満解消になります。適度な運動を生活に取り入れましょう。
■脂質異常症の原因:ストレスや不規則な生活
強いストレスや長いストレスはホルモン分泌を狂わせて、血液中のコレステロールや中性脂肪を増やし血圧を上げて、血液中の脂質が血管壁に沈着する動脈硬化を促進します。自分なりのストレス解消法を工夫して、規則正しい生活を心掛けましょう。
■脂質異常症の原因:喫煙
煙草(タバコ)は善玉コレステロール(HDL)を減らして悪玉コレステロール(LDL)を超悪玉(スモールデンスLDL)にするといわれています。脂質異常症(高脂血症)といわれたら、必ず煙草(タバコ)はやめましょう。
■脂質異常症の原因:アルコールの飲みすぎ
適量のアルコールはストレス解消になりますが、アルコールの飲み過ぎは血液中の中性脂肪(トリグリセライド)を増やします。アルコールはほどほどにしましょう。

脂質異常症と遺伝

遺伝子の異常によって脂質異常症(高脂血症)になりやすい人がいます。遺伝的要素が強く、家族に同じタイプの脂質異常症(高脂血症)が見られることから、家族性脂質異常症と呼ばれます。先天的遺伝的な要因が原因であるために、生活習慣に問題がなくとも起こりますし、治療が難しいことも多いようです。家族性脂質異常症にはいくつかの病型があり、発症頻度が異なります。家族性複合型高脂血症はおよそ100人に1人といわれています。次に多い病型が家族性高コレステロール血症(FH、Familial Hypercholesterolemia)です。家族性高コレステロール血症(FH)の特徴としては、高コレステロール血症、アキレス腱肥厚、黄色腫、冠動脈硬化症(狭心症や心筋梗塞)があります。家族性高コレステロール血症の原因は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を血液中から細胞内に取り込むLDL受容体の遺伝的異常です。家族性高コレステロール血症にはヘテロ型とホモ型があり、片方の親だけから異常な遺伝子を受け継いだ場合がヘテロ型、両方から受け継いだ場合がホモ型です。ヘテロ型の家族性高コレステロール血症はおよそ500人に1人の割合で発症します。ホモ型の家族性高コレステロール血症は100万人に1人と稀です。ホモ型はヘテロ型よりも重症で、5歳~30歳までに冠動脈硬化症(狭心症や心筋梗塞)を起こすことも多いようです。
原発性高脂血症の種類としては、原発性高カイロミクロン血症(家族性リポ蛋白リパーゼ欠損症・アポリポ蛋白CII欠損症・原発性V型高脂血症・原因不明の高カイロミクロン血症)、原発性高コレステロール血症(家族性高コレステロール血症・家族性複合型高脂血症・特発性高コレステロール血症・内因性高トリグリセリド血症・家族性IV型高脂血症・特発性高トリグリセリド血症)、家族性III型高脂血症(原発性高HDL-コレステロール血症)があります。

脂質異常症と高齢者

血液中のコレステロールや中性脂肪(TG、トリグリセライド)が異常値を示す脂質異常症(高脂血症や低脂血症などの脂質代謝異常症)は、動脈硬化の危険因子のひとつです。高齢者は成人よりも動脈硬化性疾患(脳梗塞や心筋梗塞など)の絶対リスクが高い状態であることは明らかです。成人と同じく前期高齢者(65歳以上75歳未満)の冠動脈疾患(CAD)の危険因子として高LDLコレステロール血症(LDL-C)が挙げられます。前期高齢者の治療においては、脂質低下療法の効果が成人と同等または更に高いと考えられており、CAD発症予防として、成人と同じ脂質異常症管理基準を適用しても良いと考えられています。後期高齢者(75歳以上)や超高齢者では、栄養の吸収が悪い・消化管の活動低下・偏食などから栄養状態が不良になりやすいため、脂質異常症としては低HDLコレステロール血症がよく見られます。
高齢者(男女ともに)においても脂質低下療法がCAD発症予防に有用といわれていますが、後期高齢者や超高齢者の脂質異常症治療においては、治療の必要性・治療開始時期・目標値などに関してはっきりとしたエビデンスが得られておらず、個々の患者の病態を十分検討して主治医の判断のもとに柔軟な対応が必要と考えられているようです。日本動脈硬化学会では「後期高齢者の高LDLコレステロール血症治療に関する意義は明らかでなく、主治医の判断で個々の患者に対応する」とされています。

※動脈硬化性疾患:動脈硬化性疾患とは、脳動脈(脳梗塞、脳出血)、冠動脈(心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患)、大動脈(大動脈瘤、大動脈解離)、腎動脈(腎硬化症やそれによる腎不全)、末梢動脈(閉塞性動脈硬化症 )など血管の病気の総称です。
※冠動脈疾患(CAD:Coronary Heart Disease):冠動脈疾患とは、心臓血管の病気です。動脈壁に徐々に蓄積した脂肪(コレステロール)によって冠動脈が狭窄あるいは閉塞する疾患です。

脂質異常症と女性

女性の脂質異常症(高脂血症)は閉経を機に増加し、動脈硬化性疾患のリスクも高まります。脂質異常症(高脂血症)は、男性では成人で現れはじめて50代以降多くなります。女性では50歳代になるまでは少ないのですが、それ以後に急激に増えて男性よりも多くなります。この男女の脂質異常症(高脂血症)の違いの原因は、女性特有のエストロゲン(卵胞ホルモン)にあります。エストロゲンには、肝臓の酵素に働きかけて血液中のLDLコレステロールの増加を抑制し、肝臓でのHDLコレステロールの合成を促がす働きがありますから、閉経前は男性のように動脈硬化性疾患のリスクが低いのです。ところが、閉経後はエストロゲンが激減することで、LDLコレステロールや中性脂肪が増加して、動脈硬化性疾患のリスクが高まります。一般的に女性のLDLコレステロール(LDL-C)値は40歳代後半から上昇して、閉経後に男性を追い越し、更に男性より高値を持続します。そのため、女性の冠動脈疾患(CAD)発症リスクは閉経後に高まり、高齢期にかけて増加し続けます。女性のHDLコレステロール値は高いことが多いので、総コレステロール値が高くとも、必ずしもLDL-Cも高値とは限りません。閉経前女性の脂質異常症に対しては、家族性高コレステロール血症や脂質異常症以外の病気(高血圧や糖尿病など)の合併など複数の危険因子があるケースを除いては、生活習慣の改善が優先的に行われます。閉経後女性の脂質異常症では、まずは生活習慣改善が推奨されますが、危険因子を十分考慮して薬物療法も検討されます。
日本においては、食生活の欧米化、運動不足、喫煙、長寿による高齢化社会で、動脈硬化に繋がる危険因子が懸念されます。女性も若いうちから生活習慣を見直して脂質異常症(高脂血症)予防対策を行って、少しでも動脈硬化の危険因子を減らすことが重要です。

※LDLコレステロール(LDL-C):俗称として善玉コレステロールと呼ばれています。
※トリグリセライド(TG):中性脂肪の殆どがトリグリセライド(TG)です。
※HDLコレステロール(HDL-C):俗称として悪玉コレステロールと呼ばれています。

脂質異常症と喫煙

脂質異常症、高血圧、糖尿病、喫煙が動脈硬化の四大リスクファクター(危険因子)です。喫煙(たばこ)は脂質異常症と深い関係にあります。ニコチンは中性脂肪の原料になる遊離脂肪酸を増やしますし、交感神経を刺激して血圧を上げ、血管を収縮させて血流を悪くして、動脈硬化を進める作用があります。一酸化炭素は赤血球のヘモグロビンと結びついて血液が酸素を運搬する機能を阻害したり、血管壁が傷付きやすくします。喫煙(タバコ)によって血液中のコレステロールが酸化されてアテローム性動脈硬化症(粥状硬化症)が進行することや、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を減少させて、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増やすことが分かっています。喫煙自体が血栓形成性を高めるともいわれています。
喫煙者にガン(癌)・心臓病・脳卒中・肺気腫・喘息・歯周病といった病気の罹患率や死亡率などが高いことや、これら病気の原因と喫煙(たばこ)が関係していることが疫学的にも指摘されており、喫煙が引き起こす様々な健康への悪影響によって喫煙者の余命が非喫煙者よりも短いともいわれています。そして、喫煙者本人だけでなく、副流煙(タバコの煙)による受動喫煙の場合でも、喫煙者と同じまたはそれ以上のリスクがあるともいわれていますから要注意です。もし喫煙者ならば、1日も早く禁煙することをお勧めします。タバコ依存の原因は、タバコ煙に含まれるニコチンです。ニコチン依存は病気です。自力で禁煙できないならば、禁煙グッズや禁煙プログラムを利用するのもよいですし、病院に行くのもよいです。自分に合った禁煙方法をみつけてください。

脂質異常症と肥満

肥満としては、内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満があります。内臓脂肪型肥満は、脂質異常症(高脂血症)や高血圧や糖尿病などを合併しやすく、動脈硬化との関連性が高いとされています。肥満 (特に内臓脂肪型肥満) は動脈硬化の危険因子としての脂質異常症(高脂血症)・高血圧症・糖尿病などのベース(素地)になっているのです。つまり、肥満の人はこれらの疾患を複数もつ場合が多いという事です。このことから、肥満に加えて、脂質異常・血圧高値・耐糖能異常のうち2つに該当する状態を、メタボリックシンドロームとよばれる疾患として定義しています。
肥満とは脂肪組織が過剰に蓄積された状態です。肥満の場合は、脂肪細胞から流出した脂肪酸を原料にして中性脂肪が合成され、血液中の中性脂肪が増えます。肥満度指数(BMI) が25を超えると合併症の発症頻度が高くなります。脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、高血圧、心疾患(心不全や虚血性心疾患)、脳卒中、睡眠時無呼吸症、癌、痛風などです。このように、肥満は他の生活習慣病の原因にもなりますから減量が必要です。メタボリックシンドローム予防に生活習慣病である脂質異常症の予防は重要で、そのベースになっている肥満解消が重要になります。肥満でなくとも、適正体重・適正エネルギー量を知って、肥満にならない食生活や生活習慣を身に付けておくことが大切です。

※肥満が原因になっている疾患(合併症)が肥満の程度と相関しないため、単なる肥満と区別して、医学的治療が必要な肥満を肥満症と診断しています。

脂質異常症と糖尿病

脂質異常症(高脂血症)を合併している糖尿病患者が多く見られます。糖尿病や脂質異常症(高脂血症)はそれぞれの病気単独でも動脈硬化を起こしやすいのですが、糖尿病と脂質異常症(高脂血症)を合併すると、動脈硬化のリスクが増大します。糖尿病で合併しやすい脂質異常症(高脂血症)のタイプは、中性脂肪値(TG、トリグリセライド)が高く(150 mg/dL以上)、HDL(善玉)コレステロール値が低い(40 mg/dL未満)といわれています。糖尿病に合併しやすいのは高トリグリセライド血症ですが、高 LDLコレステロール血症を合併することもあります。糖尿病に罹ると膵臓から分泌されるインスリンの作用不足で脂質代謝が妨げられて、血液中の中性脂肪が異常に増加することになります。中性脂肪が増えると、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が減ってLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増加し、脂質異常症(高脂血症)が大変進行しやすい状態になり、動脈硬化の進行が促がされます。また、糖尿病で血糖値が高いことで、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が酸化されやすい状態になり、動脈硬化が一層進んでしまいます。糖尿病患者における脂質異常症は、狭心症や心筋梗塞といった冠動脈疾患(CAD)や脳梗塞のリスク要因ですから、血糖値など個別に見るのではなく、トータルでコントロールする必要があるようです。

※糖尿病の定義: 糖尿病とは、インスリン作用の絶対的または相対的不足により引き起こされる慢性の高血糖状態を主な特徴として、様々な病態をもつ代謝疾患群です。糖尿病と判定するためには、空腹時血糖値、75gOGTT2時間値、随時血糖値の検査の結果における糖代謝異常の程度により診断されます。
※糖尿病の症状: 糖尿病の典型的な自覚症状は口渇・多飲・多尿・体重減少などですが、糖尿病の多くが殆ど自覚症状がありません。糖尿病は合併症の病気ともいえます。糖尿病の3大合併症と呼ばれる糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性神経障害をはじめ、感染症や動脈硬化など様々です。

脂質異常症と高血圧

脂質異常症(高脂血症)は動脈硬化の危険因子で、高血圧を合併することが多い病気です。高血圧症とは、正常基準値を超えた血圧値が慢性的に続く状態です。高血圧と動脈硬化は相互に危険因子になって血管の老化を促進します。そして、高血圧が長期間続くと、脳・心臓・腎臓・目などの臓器にも甚大な悪影響を及ぼすようになります。高血圧と脂質異常症(高脂血症)は動脈硬化性疾患を引き起こす危険因子になる病気として注意が必要であるにもかかわらず、単独では軽く見られがちのようです。脂質異常症(高脂血症)に合併症で高血圧があると、脳卒中や虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)を起こす確率が更に高まりますから、一層の注意が必要になる病気と認識することが重要です。高血圧と脂質異常症(高脂血症)は互いに危険因子となって動脈硬化を促進させる関係にあります。血圧が高い状態が続くと、常に血管に余計な圧力がかかるため、血管壁が傷つきやすくなっています。脂質異常症(高脂血症)が重なると、弱くなって傷付いた血管の内壁に増殖した悪玉コレステロールや中性脂肪が入り込み、血管はもろく細くなっていきます。すると、更に血液が血管に圧力をかけて高血圧になるといった悪循環が生じます。肥満を解消することが、脂質異常症(高脂血症)と高血圧の両方の改善に繋がることがわかっています。脂質異常症(高脂血症)とその合併症を改善するには、まず生活習慣の見直しです。

脂質異常症と胆石症

動脈硬化とは無関係に脂質異常症(高脂血症)の人に合併が多く見られる病気に胆石症があります。胆石症とは、胆汁が消化管の胆道(胆嚢や胆管)内で固まって結石を形成する病気です。胆石症は結石ができる場所によって胆嚢結石症・総胆管結石症・肝内結石に分けられます。胆石症のおよそ9割が胆嚢結石症です。胆嚢結石症が一番発症率の高い胆石であるため、胆石といった場合は。胆嚢結石症を指すことが一般的です。脂質異常症(高脂血症)、特に高トリグリセリド血症は胆嚢結石(いわゆる胆石)形成に関連するといわれています。また、胆石にはコレステロール性結石と色素系結石(ビリルビンカルシウム石と黒色石)があります。日本の食生活が欧米化するまでは、ビリルビンカルシウム石が一番多い胆石症でしたが、近年はコレステロールが主成分のコレステロール胆石が増え、胆石全体の7割以上を占めています。コレステロール胆石の原因は、高脂肪の食生活や慢性的なストレスといった生活習慣で、ビリルビン胆石の主な原因は、溶血性疾患や細菌感染などが挙げられます。胆石症の症状としては、主にみぞおち・右脇腹・背中・腰などの痛みや、嘔吐や胸部の痛みなどです。突然の激しい右上腹部の痛みで胆石が見つかるケースが多いのですが、胆石を持っていても殆ど症状がない無症状胆石が多いです。尚、胆嚢(胆のう)や胆管の炎症で高熱や黄疸(黄だん)症状が現れることもあります。このように胆石に黄疸や発熱を伴う場合は至急病院を受診する必要があります。

脂質異常症と大動脈瘤

大動脈瘤とは、大動脈が局所的に内圧に耐えられず瘤(こぶ)のように膨らむ病気です。大動脈瘤の危険因子としては、動脈硬化・高血圧・脂質異常症(高脂血症)・糖尿病・喫煙などの循環器系の病気に共通する危険因子が挙げられます。大動脈瘤の最大の原因は動脈硬化です。動脈硬化が進行すると、動脈の血管壁は次第に脆く弱い状態になって、高い血圧に耐えられなくなります。この弱くなった動脈壁の一部が変形して瘤(こぶ)状に拡張した状態が大動脈瘤です。大動脈瘤ができる部位によって、胸部大動脈瘤と腹部大動脈瘤に分けられますが、大動脈瘤の殆どが腹部大動脈瘤です。大動脈瘤の症状は、大動脈瘤の大きさや部位、原因になっている基礎疾患によって様々ですが、大動脈瘤の大きさは徐々に進行しますから、初期は殆ど症状がありません。特に胸部大動脈は自覚症状に乏しく、破裂しない限り症状が現われないことが多いようです。腹部大動脈瘤では、臍(へそ)周辺に触れることで瘤(こぶ)が拍動するのを認めて腹部大動脈瘤が発見されることが多いのですが、痛みを伴うことは稀ですので放置されることが多いようです。胸部大動脈瘤が破裂すると胸や背中の痛みや喀血などがあることが多く、腹部大動脈瘤が破裂すると腹痛や腰痛や膨満感が必ず起こります。大動脈瘤が破裂すると殆どのケースで痛みを生じ、大動脈瘤の出血でショック状態に陥り生死に関わることも稀ではありません。瘤(こぶ)がある程度大きくなった場合は手術によって除去する必要があります。瘤(こぶ)の予防対策として、脂質異常症(高脂血症)などの危険因子を避けることが大切です。

閉塞性動脈硬化症とは

閉塞性動脈硬化症とは、四肢(主に下肢)に血行障害が起こっている状態で、大動脈瘤と同じ循環器系の病気です。閉塞性動脈硬化症の原因は動脈硬化で、基礎疾患として糖尿病や脂質異常症(高脂血症)、高血圧などの生活習慣病があります。動脈硬化は全身の血管に起こるのですが、閉塞性動脈硬化症の場合は腹部から下肢の動脈(大動脈下部から大腿動脈の範囲)によく見られる動脈硬化症です。閉塞性動脈硬化症である場合は、下肢の動脈だけでなく、全身の血管にも動脈硬化を起こしている可能性が大きく、冠動脈疾患(虚血性心疾患とよばれる狭心症や心筋梗塞)や脳血管障害を合併しているケースも多く見られます。閉塞性動脈硬化症の症状としては、しびれや冷感に始まり、間欠性跛行とよばれる、歩行中に下腿(ふるらはぎ)の筋肉が痛くなり、立ち止まると痛みが和らぐ症状が現われてきます。閉塞性動脈硬化症が更に進行して安静時に疼痛が現われる時期には、足の潰瘍や壊死が起こりやすくなるため必ず治療する必要が生じます。閉塞性動脈硬化症の予防対策は、食生活を改善し適度な運動などをして、脂質異常症(高脂血症)などの危険因子を取り除くことです。

※閉塞性動脈硬化症(ASO): arteriosclerosis obliterans

高尿酸血症・痛風とは

高尿酸血症(痛風)では脂質異常症(高脂血症)を合併していることが多いといわれています。好発年齢は30-60歳代で、9割以上が男性です。血清尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態が高尿酸血症です。この状態が更に進行して急性関節炎発作の症状が起きた時に、痛風といわれます。痛風の激しい耐え難い「痛み」に注目が集まる傾向にありますが、本当に注目すべきは高尿酸血症(痛風)の合併症です。肥満度が大きくなるほどに高尿酸血症の頻度も増加します。そして、耐糖能異常(糖尿病)、高トリグリセリド血症(高脂血症)、高血圧などの合併頻度も多くなります。高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が高くなった状態です。高尿酸血症には尿酸の産生過剰型と排泄低下型(腎型)があり、およそ9割が排泄低下型です。高尿酸血症が進行すると痛風発作とよばれる激しい痛みを伴う炎症性関節炎の急性発作の症状が現われますが、他にも、皮膚症状として皮下に痛風結節できたり、腎臓や尿路に尿酸結晶が溜まることで、尿路結石症を生じやすくなったり、腎機能障害(腎不全などの 腎臓病) をきたします。尿酸結晶による腎障害は痛風腎と呼ばれます。
高尿酸血症(痛風)の原因である尿酸はプリン体から作られます。遺伝的に細胞の代謝機構に問題があったり、プリン体(プリンヌクレオチド)が多い食事を好んで食べていると尿酸が産生過剰になって尿酸値が上昇します。アルコール(特にビール)の多飲でも、尿酸の産生過剰が起こります。高尿酸血症(痛風)の治療の基本は生活習慣の見直しです。肥満の解消が大切で、カロリ-制限、高蛋白食制限、アルコール制限が特に重要です。アルカリ食品や水分を充分に摂取することで尿をアルカリ化したり、ストレスを避けることも大切です。

脂質異常症と脂肪肝

脂肪肝とは、肝細胞内に中性脂肪が過剰に蓄積された状態の病気です。慢性の脂肪肝は、高脂血症(高中性脂肪血症)や、肥満、糖尿病などに合併していることが多いです。中性脂肪は分解されてエネルギー源として利用されるべく、皮下や内臓に蓄えられていますが、過剰な内臓脂肪から肝臓に中性脂肪が流入すると、肝臓に脂質代謝異常が生じて、肝細胞内に中性脂肪が過剰に蓄積されて脂肪肝になります。脂肪肝は、中年太り(40歳~50歳代)で、内臓脂肪蓄積型の肥満の人に多く、男性の方が女性よりも多く発症しています。脂肪肝はこれといった特徴的な自覚症状がなく、進行するとアルコール性肝炎や肝硬変になります。中性脂肪が肝臓の全体重量の5%以上となると脂肪肝と診断されます。重量では5%であっても肝細胞の30%に相当しますから、決して見逃せないフォアグラ状態です。脂肪肝の原因のおよそ7割が肥満とアルコールが占めているといわれるほど、脂肪肝の原因は食べすぎと飲みすぎです。過度なアルコール摂取は、肝臓での中性脂肪の合成を促進します。お酒を飲まないから脂肪肝とは関係ない、と安心もできません。アルコール性脂肪肝が減少傾向にある一方で、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)がクローズアップされています。非アルコール性脂肪肝(NAFLD)の原因は脂質や糖分が多いバランスの悪い食生活や運動不足が引き起こす内臓脂肪の増加です。非アルコール性脂肪肝(NAFLD)患者の9割は脂肪肝が変化しない単純性脂肪肝なのですが、残り1割の患者は肝炎から肝線維症や肝硬変に進行する非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)といわれています。脂肪肝の治療や改善方法は、先ず脂肪肝の原因を解消することになります。食事療法や運動が重要です。脂肪肝を予防して肝機能を改善するためは、アルコールの飲みすぎを止めて、脂肪肝の原因である肥満を解消するために、低カロリーで低脂肪食かつバランスの良い食事が大切です。食べ過ぎならば食事量を減らすことも必要です。適度な運動も忘れてはいけません。数日間低脂肪食にするだけでも脂肪肝を改善することがわかってきているそうです。

※中性脂肪は主に脂肪細胞に存在してエネルギーを効率よく蓄える働きをします。中性脂肪の大部分はトリグリセリド(TG)なので、中性脂肪とトリグリセリドト(リグリセリドはトリグリセライドともいわれます)は同義語のように用いられることが多いです。
※非アルコール性脂肪肝(NAFLD):non-alcoholic fatty liver disease
※非アルコール性脂肪肝炎( NASH):non-alcoholic steatohepatitis

脂質異常症と急性膵炎

脂質異常症(高脂血症)のひとつである、トリグリセライド(TG、中性脂肪)の値が正常値よりも高い状態の高トリグリセリド血症(高中性脂肪血症、高TG血症)の場合に、高尿酸血症(痛風)や脂肪肝を合併していることが多く見られますが、トリグリセライド(TG、中性脂肪)が1500mg/dl 以上と極端に高い場合には、急性膵炎を起こすこともあります。血液中のトリグリセライド(中性脂肪)値が極端に高くなると、膵臓で膵液が大量に分泌されて、膵液に含まれる消化酵素が自己消化して炎症を起こし、激しい痛みを伴う急性すい炎を引き起こします。
膵炎には、急性膵炎と慢性膵炎があります。急性膵炎は高中性脂肪血症(高トリグリセリド血症)が原因でも起こりますが、アルコール(飲酒)や胆石症などにより起こることの方が多いです。急性膵炎の主な症状は、みぞおちから左上腹部の激しい痛みで、この痛みの他に、吐き気や発熱などがあります。放散痛とよばれる背部や腰部に広がる痛み(背中痛や腰痛)を生じることがあります。急性膵炎の多くは飲酒や食事をした数時間後に発症します。慢性膵炎の場合も、急性膵炎と同様の痛み症状が起こりますが、急性膵炎ほどの激しい痛みではなく鈍痛が多く、吐き気、お腹が重苦しい感じ、膨満感、食欲不振などの症状も見られます。慢性膵炎が進行すると、痛み自体は軽くなりますが、下痢や脂肪便、体重減少、多尿、のどの渇きなどの症状が現れます。急性膵炎と慢性膵炎ともに、膵炎の原因の中心はアルコールの過剰摂取とされていますが、長年大量にお酒を飲んでいる人が必ず膵炎になるわけでなく、アルコール(飲酒)だけでなく、食生活や環境因子、先天的素因などの他の要因も膵炎の発症に関与していると考えられています。急性膵炎は重症度によって予後が異なり、重症度に基づいた治療法が選択されます。慢性膵炎の経過中に急性増悪(急激に悪化)して強い症状が現れた場合は急性膵炎と同様の治療が必要になります。急性増悪でなくとも軽度~中程度の症状では、原因や誘因を避けることが必要です。慢性膵炎の治療は、基本的に膵臓に負担をかけない生活が大原則です。つまり、アルコールを控え、暴飲暴食をつつしみ、脂肪分を控えて、規則正しい食事を心がけ、ストレスを減らす、といった生活習慣の改善が基本になります。膵炎の症状かも、と思い当たる症状があるなら、病院(消化器科・内科)を受診して、きちんとした診断がなされることが大切です。

※中性脂肪の大部分はトリグリセリド(TG)なので、中性脂肪とトリグリセリドト(リグリセリドはトリグリセライドともいわれます)は同義語のように用いられることが多いです。
※膵臓(すい臓)は胃のちょうど裏側にある細長い臓器で、内分泌腺からインシュリン(血糖値を正常に保つ)やグルカゴンなどのホルモンを分泌する内分泌機能と、外分泌腺から膵液(消化液)を分泌する外分泌機能という重要な2つの機能を持っています。膵液には、脂肪を分解するリパーゼ、タンパク質を分解するトリプシン、炭水化物を分解するアミラーゼなどの消化酵素や電解質、水分が含まれています。

自覚症状がある脂質異常症

脂質異常症(高脂血症)は単独では基本的に自覚症状がない病気ですが、稀に自覚症状が認められることがあります。家族性脂質異常症で、高率に若年性粥状動脈硬化症を引き起こすとされている家族性高コレステロール血症(FH)です。家族性高コレステロール血症(FH)の症状の特徴としては、アキレス腱の肥厚、結節性黄色腫、角膜輪があります。黄色腫とは、脂質が沈着してできる黄色を帯びた盛り上がった斑点状の発疹(コレステロールの固まり)です。皮膚や腱に黄色腫が認められます。鼻に近いところの瞼(まぶた)に発生するのが眼瞼黄色腫です。ホモ型家族性高コレステロール血症では臀部や指の間に黄色腫が見られるようです。角膜輪とは、角膜辺縁(黒目の回り)にコレステロールが沈着して白い輪が発生した状態です。角膜輪には高コレステロール血症に伴うものと老人環がありますが、40歳未満で角膜輪が観察された場合は、高コレステロール血症が疑われます。

※家族性高コレステロール血症にはヘテロ型とホモ型があり、片方の親だけから異常な遺伝子を受け継いだ場合がヘテロ型、両方から受け継いだ場合がホモ型です。

中性脂肪の正常値

特定検診(正式名:特定健康診査・特定保健指導)や会社の健康診断の血中脂質検査で、中性脂肪の値(TG値)が正常値・基準値より高い数値ではありませんか?体内に蓄えられた内臓脂肪や皮下脂肪や肥満の原因である中性脂肪(TG、トリグリセライド)の正常値(適性域)は150mg/dL未満(空腹時)で、150mg/dL以上で高トリグリセライド血症と診断されます。中性脂肪の正常値・基準値で注意を促されたならば、今までと同じ生活習慣を続けてはいけないサインです。
中性脂肪(TG)の検査は、早朝の空腹時に採血をするのが一般的です。中性脂肪の値(TG値)は血糖(GLU)と同様に、食事に大きく影響される血液検査項目だからです。中性脂肪の値(TG値)は食事によって大きく変化します。一般的に中性脂肪の値(TG値)は食後2~4時間後にピークに達し、食後7時間後にほぼ食事前の中性脂肪値(TG値)にもどるといわれており、中性脂肪の摂取量が多い場合はより早い1~2時間後にピークに達するといわれています。高トリグリセライド血症では4時間以上経過しても高値である傾向があるため、中性脂肪(TG)の検査は食後8時間以上の時間経過が必要と考えられています。
中性脂肪の値(TG値)は食事だけでなくアルコールの影響も受けます。飲酒歴が長い大酒家ほど中性脂肪の値(TG値)が高い傾向があります。肥満傾向の人や妊婦も、中性脂肪値(TG値)が高い傾向にあります。中性脂肪は内臓脂肪や皮下脂肪といった体脂肪として蓄えられて必要に応じてエネルギー源として利用されます。食べ過ぎれば体脂肪(中性脂肪)が増えていきますが、減るときは内臓脂肪から先に減ります。

※LDLコレステロール(悪玉コレステロール)値の計算方法はFriedewaldの式で計算しますが、空腹時採血かつTG値が400mg/dL未満の場合にのみ適用されます。食後採血やTG値が400mg/dL以上の場合は、直接測定法でのLDL-C値測定になります。

脂質異常症の検査・診察

脂質異常症(高脂血症)かどうかを調べるには、健康診断や人間ドックで検査をうけるのが一般的です。脂質異常症は生活習慣病の一つで、メタボリックシンドロームとも大きく関わっています。脂質異常症(高脂血症)の検査は採血による血液検査が一般的です。会社の定期健診や、地域の住民健診などを積極的に受けて、検査の結果で「脂質異常症(高脂血症)の疑いあり」と指摘されたら、自覚症状がなくとも、病院を受診してください。脂質異常症の血液検査は、朝食前の空腹時に採血して血清脂質の測定をします。血液検査結果は、血液中のコレステロールや中性脂肪の脂質の数値で示されますが、高脂血症に関係する「総コレステロール値(TC)」「HDLコレステロール値(HDL:善玉コレステロール)」「中性脂肪値(トリグリセリド値:TG)」の 3つの数値が重要になります。脂質異常症の診断基準では、動脈硬化性疾患の高リスク群をスクリーニングするために、診断基準としてLDL-コレステロールを140mg/dLとして採用し、総コレステロールは診断基準から除かれています。血液検査で得られた数値(LDL-C値、HDL-C値、TG値)のみで薬治療を開始するわけではありません。この診断基準の数値は薬物療法の開始基準ではありませんから、薬物療法をするかどうかに関しては他危険因子も考慮して総合的に判断決定されることになります。鑑別診断のために、血液検査で肝機能、腎機能なども調べますし、問診も重要です。問診・診察で、高血圧、糖尿病、心臓疾患の合併の有無や、冠動脈疾患(CAD)や脳梗塞、脂質異常症の家族歴のほかに、飲酒・喫煙・食事・運動などの生活習慣も確認されます。脂質異常症の診断は、続発性脂質代謝異常の鑑別診断から原発性脂質代謝異常の鑑別診断へと進められます。検査・診察・問診の結果に脂質異常症と確定診断されて、治療内容が決まっていきます。

※脂質異常症の血液検査:空腹時の血清脂質を測定します。LDL-C値、TG値、HDL-C値で診断します。LDL-C値は、空腹時採血かつTG値400mg/dL未満の場合にのみ、Friedewaldの式「(LDL-C)=(TC)-(HDL-C)-(TG)/5)」で計算します。食後採血やTG値が400mg/dL以上の場合は、直接測定法でLDL-C値を測定します。

脂質異常症の診断基準

日本動脈硬化学会の改訂版が2007年に発表され、名称が「高脂血症の診断基準」から「脂質異常症の診断基準」に変更されました。「脂質異常症の診断基準」の特徴は、診断基準としてLDL-コレステロールを140mg/dLとして採用し、総コレステロールが診断基準からなくなったことです。また、脂質異常症と診断された患者に対する管理基準として、動脈硬化の危険度に従ったカテゴリー別管理目標が設定され、これまでのA・B・Cという表記から、一次予防と二次予防に区別され、更に一次予防は低リスク・中リスク・高リスクに分類されました。
日本動脈硬化学会の「脂質異常症の診断基準」では、血液中に占める脂質が「コレステロール値の異常による」のか、「中性脂肪(トリグリセド値、TG値)が高いことによる」のかで区別されます。脂質異常症は脂質の種類によって3タイプに分けられます。従来の「高脂血症の診断基準」には「高コレステロール血症」と「高中性脂肪血症」がありましたが、「脂質異常症の診断基準」では次のようになっています。
■高LDLコレステロール血症(高LDL血症)
LDLコレステロールとは、いわゆる「悪玉コレステロール」のことです。血液中の低比重リポ蛋白(LDL)が多い(140mg/dL以上)タイプの脂質異常症です。
■低HDLコレステロール血症(低HDL血症)
HDLコレステロールとは、いわゆる「善玉コレステロール」のことでです。血液中の高比重リポ蛋白(HDL)が少ない(40mg/dL未満)タイプの脂質異常症です。
■高トリグリセリド血症(高トリグリセライド血症、高TG血症)
血液中にトリグリセリド(中性脂肪)が多い(150mg/dL以上)タイプの脂質異常症です。

総コレステロール(TC)

2007年に発表された日本動脈硬化学会の改訂版「脂質異常症の診断基準」では、総コレステロールが診断基準から除外されました。LDLが明らかに心血管リスクとの相関度が高いことや、HDLが高いために総コレステロール(TC)値も高いという人も高脂血症と診断されるなど、総コレステロール(TC)値では動脈硬化性疾患のリスクが正確に判断できないためです。このことから総コレステロール(TC)値の重要度は廃れ、注目度も薄れてきています。因みに、「脂質異常症の診断基準」より前の「高脂血症の診断基準」においては、「高コレステロール血症」と「高中性脂肪血症」があり、「高コレステロール血症」の診断基準として総コレステロール(TC)値が採用されており、総コレステロール値が高い(220mg/dL以上)タイプの脂質異常症を「高コレステロール血症」と診断していました。そもそも、総コレステロール(TC)はLDLやHDLを包括しています。日本人女性に比較的多いケース(LDLコレステロールがそれほど高くないのにHDLコレステロールが高いために、総コレステロール値が高い)も動脈硬化性疾患リスクとして捉えられてしまうという混乱が生じていました。このようなことから、「脂質異常症の診断基準」において、LDLコレステロールとHDLコレステロールを直接的に評価する流れが生じ、この流れは更に加速するとみられます。

※脂質異常症の血液検査は、空腹時の血清脂質を測定します。LDL-C値、TG値、HDL-C値で診断します。LDL-C値は原則として、空腹時採血でかつTG値が400mg/dL未満の場合で、Friedewaldの式「(LDL-C)=(TC)-(HDL-C)-(TG)/5)」で計算します。食後採血やTG値が400mg/dL以上の場合は、直接測定法でLDL-C値を測定します。