脂質異常症の薬物治療で、コレステロールを下げる薬の代表的なスタチン系薬剤(HMG-CoA還元酵素阻薬)の他に、コレステロールの吸収を阻害する薬(陰イオン交換樹脂、小腸コレステロールトランスポーター阻害剤)、コレステロールの異化を促進する薬(プロブコール)が挙げられます。
■コレステロールを下げる薬:コレステロール吸収阻害薬
○陰イオン交換樹脂製剤
陰イオン交換樹脂製剤は、胆汁酸排泄促進薬とも呼ばれ、腸管内で胆汁酸を吸着して、そのまま糞便中に排泄されことで、コレステロール吸収を防ぐ高脂血症の治療薬です。コレスチミド(コレバイン)、コレスチラミン(クエストラン)などがあります。陰イオン交換樹脂の副作用としては、 便秘、腹部膨満感、出血傾向(ビタミンK欠乏による)があります。陰イオン交換樹脂は安全性が高いとされていますが、酸性薬剤(ワルファリン、チアジドなど)の吸着や、長期服用による脂溶性ビタミンの吸収を阻害するので注意が必要です。
○小腸コレステロールトランスポーター阻害剤
小腸コレステロールトランスポーター阻害剤は、小腸でのコレステロールの吸収を抑えて、LDLコレステロールを下げる薬です。脂質異常症治療薬の中では新しいタイプの薬で、エゼチミブ(ゼチーア)があります。小腸コレステロールトランスポーター阻害剤は、小腸コレステロールトランスポーター(輸送蛋白)を選択的に阻害することにより、肝臓から排出される胆汁性コレステロールと食事由来コレステロールの両方が小腸から吸収されるのを抑制して、血液中のコレステロールを低下させる薬です。腸肝循環を繰り返して体循環に移行しないため副作用もほとんどなく、脂溶性ビタミンや併用薬の吸収を阻害せず、薬物間相互作用が少ないとされています。心筋梗塞を予防できるかといった長期余後の改善効果については十分な検証がされていません。
■コレステロールを下げる薬:プロブコール
プロブコールは抗酸化作用を持った治療薬で、LDLコレステロールの肝臓への取り込みを促進させる作用があり、ブルブコール(ロレルコ、シンレスタール)などがあります。LDLとHDLの両方のコレステロールを減らす、という脂質異常症治療薬の基本である「LDLコレステロールを増やしてHDLコレステロールを減らす」に反している例外的な治療薬です。プロブコールの副作用は、過敏症、胃腸障害(下痢、軟便、消化不良、胸焼けなど)などです。
コレステロールを下げる薬
中性脂肪を下げる薬
中性脂肪を下げる薬には、フィブラート系薬・ニコチン酸誘導体・イサコベント酸エチル(EPA)があります。中性脂肪は動脈硬化を促進させますから、中性脂肪値(TG値)が基準値よりも高いと高トリグリセリド血症(高TG血症)と診断されます。中性脂肪値(TG値)が高い場合は治療する必要があります。フィブラート系薬剤(中性脂肪合成阻害薬)とスタチン系薬剤(コレステロール合成阻害薬)との併用は、原則禁忌になっていますので、これら2薬剤の飲み合わせには注意が必要です。
■中性脂肪を下げる薬:フィブラート系薬剤
トリグリセリド(TG) 合成阻害薬であるフィブラート系薬剤には、ベザフィブラート(ベザトールSR)、フェノフィブラート(リパンチル、リピディル、トライコア、)クリノフィブラート(リポクリン)などがあります。フィブラート系薬剤はコレステロールを下げる作用もあるのですが、主に肝臓での中性脂肪の合成を抑制して血液中の中性脂肪を下げる作用があります。そのため、主に高トリグリセライド血症(高TG血症)の治療に用いられます。フィブラート系薬剤の副作用として、発疹などのアレルギー症状、肝機能障害などがあります。フィブラート系薬剤とスタチン系薬剤との併用は、横紋筋融解症の発症リスクを高めるため、原則禁忌になっています。
■中性脂肪を下げる薬:ニコチン酸誘導体
ニコチン酸誘導体は、古くから使われている脂質異常症の治療薬です。中性脂肪(TG、トリグリセリド)やLDLコレステロールを下げるだけでなく、HDLコレステロールを上昇させる作用があります。そのため、LDLコレステロールとトリグリセライト(TG)の両方の値が高い場合と、トリグリセライト値(TG値)が高い場合に適している薬とされています。臨床的にも動脈硬化が進むのを予防する作用が確認されています。ニコチン酸誘導体には、トコフェノールニコチン酸(ユベラニコチネート)、ニコモール(コレキサミン)・ニセリトロール(ペリシット)などがあります。ニコチン酸誘導体の副作用としては、末梢血管拡張作用による顔面紅潮・かゆみ・頭痛、フラッシング発疹、食欲不振・胃部不快感・嘔吐などの消化器症状が知られています。活動性潰瘍、妊娠、痛風発作時は使用禁忌とされています。
■中性脂肪を下げる薬:イサコベント酸エチル(EPA)
イワシなどの青魚に含まれる魚油の成分であるイコサペント酸エチル(EPA)の抗動脈硬化作用は、トリグリセリド(TG)を下げる作用に加えて、抗血栓作用・抗炎症作用・膜安定化作用といった多面的作用があり、高トリグリセリド血症(高TG血症)だけでなく高抗動脈硬化性疾患薬として広く用いられると考えられています。高純度EPA製剤の大規模臨床試験では心血管疾患抑制効果が示されています。
禁煙と脂質異常症治療
禁煙は脂質異常症の治療と大きく関わっています。脂質異常症の治療は、食事療法と運動療法の2本柱による生活習慣の改善が基本ですが、喫煙は脂質異常症による冠動脈疾患への悪影響を増大しますから、脂質異常症の治療における生活指導に禁煙指導が含まれています。喫煙はHDLコレステロール(善玉コレステロール)を減らして、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を酸化・変性させ、中性脂肪を増やします。生活習慣改善の努力をすることが脂質異常症の薬治療の効果も高くなります。禁煙を始めるのに遅すぎるということはありません。禁煙をすると、動脈硬化による病気のリスクが低くなります。禁煙のメリットは喫煙期間や年齢に関係なく得ることができます。ニコチンパッチを用いた禁煙治療もあります。ひとりで禁煙する自信がないならば、禁煙外来に相談するという方法もあります。喫煙習慣があり、脂質異常症と診断されたならば、禁煙に真剣に取組むことをおすすめします。
家族性脂質異常症の治療
家族性(遺伝性)脂質異常症の中で、家族性高コレステロール血症は遺伝性の強い脂質異常症です。家族性高コレステロール血症の治療は大幅に進歩したといわれています。とはいえ、遺伝的な体質を根本的に治すことはできません。家族性高コレステロール血症の治療としては、食事療法や薬物療法で悪玉コレステロールであるLDLコレステロールの値を下げる治療を行います。家族性高コレステロール血症では、食事療法を徹底してもLDLコレステロール値はなかなか下がらないこともあります。そのような時には薬物療法の治療が必要です。ヘテロ型家族性高コレステロール血症対しては薬(スタチン)による治療で大きな効果がみられますが、ホモ型に対してはあまり効果が期待できません。薬治療でコレステロール値が下がらない場合は、LDL吸着療法(LDLアフェレーシス)という治療方法があります。
■家族性高コレステロール血症の治療:食事療法
○カロリーを制限して、標準体重を目指します。
○動物性脂肪を制限して、植物性脂肪にします。
○コレステロールの多く含まれる食べ物を避けます。
○食物繊維を多く摂ります。
■家族性高コレステロール血症の治療:薬物療法
家族性高コレステロール血症の第一選択薬はスタチン系薬剤で、スタチン系薬剤と陰イオン交換樹脂の併用した治療が有効とされています。スタチン系薬剤による横紋筋融解症は容量依存的に増加しますから、注意が必要です。薬の服用を中断すれば、一旦下がったコレステロール値は元の値に戻ります。
■家族性高コレステロール血症の治療:LDL吸着療法、LDLアフェレーシス(血漿交換療法)
LDL吸着療法(LDLアフェレーシス、血漿交換療法)は、血液を抜き出して、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)などの不要な成分を吸着除去した血液を体内に戻す治療です。副作用もなく長期間安全に継続治療できる治療方法です。ただ、この治療の効果は一時的で、2週間に1度程度の頻度で継続治療が必要です。腎臓の透析療法のような治療です。
高齢者の脂質異常症治療
高齢者の脂質異常症治療では、どの年齢の高齢者まで、どのような脂質異常症(高脂血症)の治療をすべきかが確立していないようです。比較的若年の高齢者である前期高齢者(65歳以上75歳未満)では、成人と同様に高LDLコレステロール血症が冠動脈疾患(CAD)の危険因子とされており、前期高齢者の治療におけるスタチン薬使用の意義が示されており、成人と同じ脂質異常症管理基準を適用しても良いと考えられています。ですが、後期高齢者(75歳以上の)に対しても同様に治療すべきかについては十分なコンセンサスが得られていません。高LDLコレステロール血症治療の必要性・治療開始時期・目標値などに関してはっきりとしたエビデンスが得られていないため、個々の患者の病態に応じた個別的な治療方針が決められるようです。日本動脈硬化学会では「後期高齢者の高LDLコレステロール血症治療に関する意義は明らかでなく、主治医の判断で個々の患者に対応する」とされています。高齢者の脂質異常症(高脂血症)の治療意義を調査した報告は多いとはいえません。後期高齢者や超高齢者に関しては、ある程度はコレステロールが高い方が死亡率が低いという報告もあります。後期高齢者や超高齢者に関しては、今後のコレステロールの管理指針が構築されることが望まれます。
※高齢者の定義:高齢者とは
国連の世界保健機関 (WHO) の定義では、65歳以上の人を高齢者としています。65~75歳未満が前期高齢者、75歳以上が後期高齢者、85歳以上が末期高齢者となります。老年学(ジェロントロジー、gerontology、医学・生物学・心理学・社会学などの面における老年期の諸問題を総合的に研究する学問)では、高齢期を2期に区分する場合と、3期に区分する場合があります。2期に区分する場合は、「65~75歳未満が前期高齢者で、75歳以上が後期高齢者」となります。3期に区分する場合は、「65~75歳未満が前期高齢者で、75歳以上85歳未満が中期高齢者、85歳以上が後期高齢者」となります。他には、「高齢者の定義は65歳以上、その中で75歳以上が後期高齢者、85歳以上または90歳以上からが超高齢者とする」という定義もあります。
閉経女性の脂質異常症治療
閉経期前後(50歳前後)の更年期女性の脂質異常症(高脂血症)が急激に増加して、食事療法や運動療法といった生活習慣改善に加えて薬による治療(薬物療法)が必要になることも多くなります。そして、LDLコレステロールや中性脂肪(TG)といった血清脂質は閉経期(更年期)前後より増加して、高齢期も高値を持続することから、高齢者の女性の脂質異常症(高脂血症)の罹患率は高いです。更年期女性の高コレステロール血症に対してはスタチン系薬剤による薬物療法が有効であることが明らかにされており、更年期女性の高コレステロール血症に対しても、スタチン系薬剤が第一選択薬と考えられています。高コレステロール血症が更年期から増える原因は、閉経に伴う女性ホルモン(エストロゲン)の低下です。閉経後女性にエストロゲンを補充するホルモン補充療法(HRT)は、更年期障害の改善や骨粗鬆症の予防に用いられる薬物療法ですが、この薬治療はLDLコレステロールを下げてHDLコレステロールを上げる作用もあります。閉経後女性の高コレステロール血症は、閉経に伴う女性ホルモン(特にエストロゲンの低下)が深く関与していることから、ホルモン補充療法(HRT)が妥当な治療方法でとして用いられることがあります。ですが、ホルモン補充療法(HRT)では、子宮出血が起こりやすい・乳癌に対する心配が払拭されていない、といった欠点がありますし、コレステロールの低下もある程度までしか得られず治療目標値に到達ないことも多いともいわれています。更年期女性は、冷え・ほてり・のぼせ・汗っかきといった更年期障害の症状に注目しがちですが、女性の更年期は脂質異常症(高脂血症)も注意してほしい時期でもあります。脂質異常症(高脂血症)は自覚症状がありませんが、動脈硬化の危険因子です。定期健診を受けてコレステロール値や中性脂肪値が正常値範囲内かどうか確認することをおすすめします。
脂質異常症の病型別食事
脂質異常症の食事療法は段階的に行われます。脂質異常症の第一段階の食事療法で血清脂質が目標値に達しない場合は、食事療法の制限はより厳しい第二段階(病型別食事療法と適正な脂肪酸摂取)に進みます。脂質異常症には、LDLコレステロール値が高い「高LDLコレステロール血症」、中性脂肪値が高い「高トリグリセライド血症(高TG血症)」、HDLコレステロールが低い「低HDLコレステロール血症」があります。これら脂質異常症(高脂血症)の単独か複合かによって食事療法の内容は若干違います。また、脂質異常症(高脂血症)のリスク程度や合併症の有無によっても食事療法は異なります。効果的で適切な脂質異常症(高脂血症)の食事療法は、医師や栄養士の指導に従うことが肝要です。
■脂質異常症の食事療法:高コレステロール血症と高トリグリセライド血症(高TG血症)に共通の治療ポイント
○1日当りのエネルギー量(カロリー)を適正量に抑えます。
○規則正しい食習慣にします。(1日3食きちんと食べます)
○栄養バランスの良い食事にします。
○動物性脂肪を控えます。
○抗酸化物質を摂ります。
○食物繊維を多く摂ります。
■脂質異常症の食事療法:高LDLコレステロール血症が持続する場合
○脂質制限を強化します。(脂質エネルギー比20%以下)
○コレステロール摂取量を制限します。(1日200mg以下)
○飽和脂肪酸/一価不飽和脂肪酸/多価飽和脂肪酸の摂取比率を3/4/3程度にします。
■脂質異常症の食事療法:高トリグリセライド血症(高TG血症)が持続する場合
○飲酒(アルコール)は禁酒が原則。
○炭水化物を制限します。(炭水化物エネルギー比50%以下)
○単糖類は可能な限り制限します。
脂質異常症の食事の仕方
脂質異常症の食事療法による食生活の改善には、食事内容の改善と、食行動の改善があります。脂質異常症の食事療法では、食事の内容や量も大切ですが、食事の仕方を見直すことも大切であることを認識しなければなりません。食事配分は1日3食にして、ながら食い・早食い・夜食を避けるといった食行動の改善も重要です。食行動(食習慣)は長年にわたって無意識に身に付いた行動パターンでライフスタイルにも直結していますから、食事療法を続けることは難しいことが多いですが、正しい食行動(食習慣)を身に付けるには、先ずは自覚することから始まります。毎日体重を測るのも良いです。
■脂質異常症の食事療法:食事行動の改善
○1日3食、規則正しい食生活にします。(朝食は抜かずに食べます。1日あたりのエネルギー摂取量が同じでも、食事回数が少なくなるほど体脂肪の蓄積が増加し、血清コレステロールや中性脂肪が高くなります。朝食を欠食して1日の食事回数を少なくすると、肝臓での中性脂肪やコレステロール合成が増します。)
○腹8分目を守ります。
○早食い・ながら食い・まとめ食いを避けます。
○間食や夜食を避けます。
○就寝前2時間は重いものを食べてはいけません。
○食事はゆっくりと、よく噛んで食べます。(脳が満腹と感じるのは、食事を始めてから約30分後です。)
○好きなものでも1人前までで我慢
○食物繊維を先にたくさん食べます。
○食器を小ぶりにします。
○身の回りに食べ物を置かない食環境にします。
○外食では丼物より定食を選びます。
LDLを下げる食事食品
LDLを下げる方法に脂質異常症の治療の基本でもある食事療法があります。LDLが多いときは、LDLを高くする食品を避けて、LDLを下げる食品を選んで食事することが、LDLコレステロールを下げる食事のポイントになります。血中コレステロールの供給源は、食事20%で体内合成80%ですが、体内合成の50%は食事でコントロールできるといわれており、コレステロールを多く含む食品を減らすことも大切ですが、体内でコレステロールが作られにくい状態にするような食事が効果的にLDLコレステロールを下げると考えられます。積極的に食物繊維・ビタミンC・抗酸化作用のある食べ物を摂ることもLDLを下げる食事になります。医師から食事指導を受けている場合には、自己判断せずに指示に従って食事療法を行うのが肝要です。
■LDLコレステロールを下げる食事:コレステロールを多く含む食品を控える。
コレステロールを多く含む食品は、動物や魚の内臓や卵などです。イカ・エビ・タコもコレステロールが多い食べ物ですが、コレステロール値を下げるタウリンが多く含まれていることから、コレステロールを気にする必要はないといわれています。
■LDLコレステロールを下げる食事:体内でコレステロールを増やしやすい食品を減らす。
飽和脂肪酸の多い食べ物はLDLを高くする食品で、LDLコレステロールを下げる食事では減らしたい食べ物になります。コレステロールを増やす作用がある飽和脂肪酸は、主に肉類や卵、牛乳、バターなどの動物性脂肪が多い食べ物にたくさん含まれています。LDLが多い人は特に摂り過ぎに注意しなければいけない食べ物です。ですが、コレステロールが多く含まれるという卵(鶏卵)には有用成分が多く含まれていますから、食べすぎない限り、あまり神経質になる必要はないとされています。
■LDLコレステロールを下げる食事:コレステロールを下げる食品を増やす。
LDLコレステロールを下げる食事で、増やしたい食品は、不飽和脂肪酸の多い食べ物です。コレステロールを下げる作用がある不飽和脂肪酸は、魚やオリーブ油、菜種油など主に植物性の油が多い食べ物に多く含まれています。
LDLを下げる食物繊維
食物繊維はLDLコレステロールを下げる食事に必要な食べ物です。食物繊維には水溶性と不溶性の2種類ありますが、LDLコレステロール値の改善により有効なのは水溶性食物繊維です。水溶性食物繊維は水分を多く吸収して膨らむという性質があり、胃の中に留まる時間が長いので消化吸収するのに時間がかかります。この性質により、不溶性食物繊維よりもコレステロールを下げるのに効果的だと言われています。食物繊維は、腸内のコレステロール自体を体外に排出するだけでなく、胆汁酸も体外に排出することで、血液中のコレステロール値を下げる働きがあります。脂肪の消化に必要な胆汁酸は、LDLコレステロールを原料にして肝臓で作られて十二指腸に分泌され、消化の役目を終えて小腸で吸収されて肝臓に戻ります。ところが、腸内に食物繊維がたくさんあると、胆汁酸は吸収されずに便と一緒に体外に排出される結果、肝臓は新たに胆汁酸を作るためにLDLコレステロールを使うことになるため、血液中のLDLコレステロール値を下げるのです。水溶性食物繊維に含まれる、ムチン・アルギニン・グルコマンナン・ペクチンなどは、コレステロール値の改善に有効とされています。水溶性植物繊維は、コレステロールが上がるのを抑制して脂質異常症の予防になるだけでなく、便秘や高血圧、糖尿病などの予防にも有効で、腸内環境を改善します。不溶性食物繊維も、大腸を刺激して蠕動運動を活発にして便秘の予防改善や、腸内の老廃物・有害物質を吸着して体外に排出するなど大切な役割があります。水溶性食物繊維も不溶性食物繊維ともに大切な食べ物です。
■LDLを下げる食物繊維:水溶性食物繊維を多く含む食品
○ムチン:オクラ、山芋、納豆などのネバネバ成分
○ペクチン:熟した果物、カボチャ、キャベツ、ジャガイモなどの野菜類
○グアーガム(食物ガム・ガム質):豆、大麦、オーツ麦
○グルコマンナン(粘質多糖類):こんにゃく、里芋などの根菜類や葉もの、植物の種子
○アルギン酸・ラミナリン・フコイジン(海藻多糖類):昆布・ワカメなどの海藻類
■LDLを下げる食物繊維:不溶性食物繊維を多く含む食品
○セルロース:りんご、茸類、大豆類(おからも含む)、ごぼう、小麦ふすま、穀類など
○ヘミセルロース:小麦ふすま、大豆、穀類、野菜類、海藻類など
○クチン:未完熟な果物、野菜
○リグニン:ココア、小麦ふすま、豆類、完熟野菜類など
○キチン:えび・カニの殻
LDLを下げる大豆
大豆や大豆加工品はLDLコレステロールを下げる食事に取り入れたい有効な食べ物です。大豆は不飽和脂肪酸が多く含まれている食品で、LDLコレステロールを減らして動脈硬化の予防になります。大豆は「畑の肉」と呼ばれるように、植物性で良質のたんぱく質(必須アミノ酸をバランスよく含むたんぱく質)と、脂質・糖質・繊維質をバランスよく含み、ビタミン・ミネラルが豊富な食品ですから、LDLコレステロールが高い人が動物性食品を控えたい場合に、大豆や大豆加工品は低カロリーな植物性タンパク質源として最適といえます。大豆はLDLコレステロールを下げる成分をたくさん含む食品で、大豆の成分にレシチン・カリウム・サポニン・イソフラボン・ビタミンEなどがあります。大豆は脂質異常症を含む生活習慣病の予防に最適の食べ物です。大豆を料理にしたり、豆腐、豆乳、納豆、厚揚げ、湯葉などの大豆加工品を日々の食事に取り入れることは、LDLコレステロールを下げるのに有効です。
■LDLを下げる大豆:レシチン
大豆に含まれる成分のレシチンは、リン脂質とよばれる脂質の一種で、その乳化作用でLDLコレステロールを下げたり、血管壁に沈着したLDLコレステロールを取る作用があります。レシチンは中性脂肪の排泄を促す効果もあるといわれています。
■LDLを下げる大豆:カリウム
大豆に含まれる成分のカリウムは、ナトリウムを排出して血圧の上昇を抑える作用があります。
■LDLを下げる大豆:サポニン
大豆に含まれる成分のサポニンは、コレステロールの代謝を促進し、不飽和脂肪酸の酸化を防ぎ、コレステロール値を下げる効果があります。
■LDLを下げる大豆:食物繊維
食物繊維は、腸内環境を整え、腸内の老廃物・有害物質・コレステロールを排出します。
LDLを下げる青魚
魚類には不飽和脂肪酸が多く含まれており、コレステロールを下げる働きがあります。また、中性脂肪を下げる働きもあります。青魚に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)もLDLコレステロールを下げる働きのある不飽和脂肪酸(オメガ3系脂肪酸)で、DHAやEPAを多く含む魚には、いわし・さば・ぶり・さんま・にしん・さわら・まぐろ・鮭・あじ・はまち・まだいなどがあります。特にEPAが多い魚はニシン、DHAが多い魚はハマチやサバです。魚を食べる時に気を付けることは、まぐろのトロのように、コレステロールや脂分が多い部分は避けるべきで、赤身を食べます。 不飽和脂肪酸が含まれている魚類は、不飽和脂肪酸の酸化が進む前に、なるべく新鮮なうちに食べることが大切ですし、同じ青魚でも、干物は空気にさらされて不飽和脂肪酸が酸化してしまっていることが多いですし塩分も高めですから、コレステロール値が高い人は食べない方が良いと考えられます。また、不飽和脂肪酸も脂質の一種ですから、摂りすぎによるエネルギー過剰には注意が必要です。魚でもLDLコレステロールを多く含むことがあります。さんまや鮎の内臓はLDLコレステロールを多く含みますし、内臓ごと食べる食品(しらす干し・いわしの丸干し・わかさぎ・ししゃもなど)はLDLコレステロールを多く含む食品です。魚卵類(たらこ・すじこ・かずのこ・うになど)もLDLコレステロールを多く含む食品です。
※植物性のオメガ3系脂肪酸では、α―リノレイン酸としてフラックスオイル(亜麻仁油)、しそ油、 ごま油、胡桃油等に含まれます。
LDLを下げる植物油
植物油は概ねLDLコレステロールを下げる働きをする不飽和脂肪酸を多く含む食品です。植物油はオレイン酸を多く含む油と、リノール酸を多く含む油に傾向が分かれます。オレイン酸は、植物性脂肪のオメガ9系脂肪酸の代表的な単価不飽和脂肪酸です。オレイン酸はHDLコレステロールに作用しないで、LDLコレステロールを下げることができ、安定性が強く、酸化しにくい性質があります。オリーブ油(オリーブオイル)の成分の70%超がオレイン酸です。オリーブ油(オリーブオイル)のほかに、菜種油がオレイン酸を多く含む食品になります。品種改良でオレイン酸を多く含む油(ハイオレイック種)もでてきているようです。リノール酸は、植物性脂肪のオメガ6系脂肪酸の代表的な多価不飽和脂肪酸で、体内合成ができませんから、食品から摂取する必要のある必須脂肪酸ですが、食用油以外の多くの食品にも含まれ、過剰摂取の傾向にあります。リノール酸の過剰摂取はLDLコレステロールを下げるだけでなく、HDLコレステロールも下げてしまいます。また、リノール酸は酸化しやすく、体内で作られる過酸化脂質の有害物質はガンの誘発原因になります。リノール酸を多く含む油としては、普通の食用油の多くが該当し、サフラワー油・ひまわり油・綿実油・大豆油・コーン油・ごま油・くるみ・落花生油などです。サフラワー油とひまわり油については、ハイオレイックタイプのものもあります。植物性脂肪のオメガ3系脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)にα―リノレイン酸があります。α―リノレイン酸は体内で同じオメガ3系脂肪酸のDHAやEPAに合成されます。α―リノレイン酸は、フラックスオイル(亜麻仁油)、しそ油、 ごま油、胡桃油等に含まれます。オメガ3系脂肪酸はオメガ6系脂肪酸と同じくは食品から摂取する必要がある必須脂肪酸ですが、不飽和脂肪酸は生では酸化しやすく、調理ではトランス脂肪酸が出来やすいのが欠点です。
尚、植物油でも飽和脂肪酸を多く含む食品もありますから注意が必要です。例えばココナッツ油やパーム油です。また、植物油から作られるマーガリンやショートニングに含まれるトランス脂肪酸にも注意が必要です。このトランス脂肪酸は、植物油をマーガリンやショートニングに加工(水素添加法)するときに生じる副産物です。トランス脂肪酸は飽和脂肪酸よりも悪影響が大きいといわれています。LDLコレステロールを増やして、HDLコレステロールを減らして、心筋梗塞などの発症リスクを高くします。
中性脂肪を減らす食事
中性脂肪を減らすには、まず食生活の改善です。中性脂肪が高い原因は、主に食べ過ぎ・飲み過ぎ・運動不足です。中性脂肪を減らす食事は、まず自分の適正エネルギーを知って、必要以上の量を摂取しないこと、つまり食べ過ぎないことです。肥満である場合は減量が必要です。食事で中性脂肪を減らすにしても、中性脂肪を増やす食品、中性脂肪を減らす食品を把握して、食生活を改善することが大切です。第一段階の食事療法で血清脂質が目標値に達しない場合は、食事療法はより制限を厳しくした第二段階(病型別食事療法と適正な脂肪酸摂取)に進みます。医師から食事指導を受けている場合には、自己判断せずに指示に従って食事療法を行うことが重要です。
■中性脂肪を減らす食事:適正エネルギーを摂ります。
1日の適正エネルギー量は、性別・年齢・活動量などで異なりますが、肥満の人では標準体重1kgあたり25~30kcal、そうでない人では30~35kcalが目安になります。
○適正エネルギー摂取量の計算方法
標準体重=身長(m)×身長(m)×22
適正エネルギー摂取量=標準体重×25~30kcal
■中性脂肪を減らす食事:アルコールは控えます。
アルコールは肝臓での中性脂肪合成を高めますから、アルコールは控えます。高トリグリセライド血症(高TG血症)の第二段階の食事療法では、飲酒(アルコール)は禁酒が原則です。
■中性脂肪を減らす食事:単糖類は可能な限り制限します。
果糖(果物に含まれる)、ショ糖(砂糖)などの単純糖質は中性脂肪に変わりやすいです。特に、夕食後の菓子や果物は中性脂肪を高くしやすくします。また、果糖や砂糖が入った飲料の飲み過ぎは要注意です。甘い菓子や清涼飲料、果物などは控えめにします。高トリグリセライド血症(高TG血症)の第二段階の食事療法では、より厳しい制限にくなります。ただし、果物は、ビタミンCやミネラル・食物繊維が豊富なので適量は摂るようにします。
■中性脂肪を減らす食事:炭水化物を控えます。
高トリグリセライド血症(高TG血症)の第二段階の食事療法では、炭水化物エネルギー比50%以下に制限します。
■中性脂肪を減らす食品:食べた方がいい食品(青魚)
イワシやサバ、サンマなど背の青い魚に含まれる、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)は、肝臓での中性脂肪の合成を抑え、血中の中性脂肪を減らします。
LH比に注意
LH比に注意してください。健康診断を受診したなら、検査結果項目で、コレステロール値だけでなく、LH比に注意することも必要です。LH比とは、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)とHDLコレステロール(善玉コレステロール)の比のことです。脂質異常症の診断は、総コレステロール(T-Cho)・悪玉コレステロール(LDL-C)・トリグリセリド(TG)・善玉コレステロール(HDL-C)など、各々の脂質検査値を診断基準(診断の指標)としており、LH比は診断基準にはなっていません。LH比に注意する理由は、LH比を低くすることで、動脈硬化の進展が抑制でき、冠動脈疾患の発症予防になると考えられるからです。例えば、心血管系の突発性危険発生因子と相関する悪玉コレステロールであるLDL-Cを低値に管理しても、善玉コレステロールであるHDL-Cが低値ならばLH比は高値になり、LDL-C高値群よりリスクが高いことが解明されてきており、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)とHDLコレステロール(善玉コレステロール)を同時に管理することが突発性危険発生因子の抑制に繋がると考えられています。総コレステロール(T-Cho)やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高い値を示さない正常値範囲内の人でも、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が非常に低い人は、コレステロール転送系が優位な人で、動脈硬化になりやすい、ということです。健診結果で「異常なし」でも、「LH比」を計算してみてください。LH比の計算方法は、「悪玉(LDL-C)÷善玉(HDL-C)」です。1.5以下が理想的なLH比と考えられています。LH比が2.5以上になると薬物治療が必要と考える医師もいます。一般的にはLH比が高い人は2.0以下を目標に、糖尿病や高血圧など動脈硬化の危険因子がある人の場合は1.5以下を目標に、食生活や運動などの生活習慣を改めることが提案されています。悪玉コレステロールを減らすには、効果的な薬ができているので、どうしても下がらない場合は、医療機関での処方がしてもらうことができます。HDLコレステロール(善玉コレステロール)を増やす治療法はまだ確立されていませんから、適度な運動、適切な食事療法で、LH比の改善を図ることが大切です。
※LDLコレステロール(悪玉コレステロール)とHDLコレステロール(善玉コレステロール):LDLは肝臓から血管壁などにコレステロールを送る「コレステロール転送系」の強さを、HDLは血管から肝臓へ戻す「コレステロール逆転送系」の強さを示していると考えられています。
食事で脂質異常症の予防
脂質異常症(高脂血症)の予防は、まず食生活を適正に改善し維持することです。脂質異常症(高脂血症)の原因は、食事に絡んだ要因が最も多いからです。遺伝的な素因の他に、過食、高脂肪食、運動不足などの生活習慣や、この悪い生活習慣にによる肥満が脂質異常症(高脂血症)の原因です。食事で脂質異常症の予防をするには、食事習慣として、「栄養バランスのよい食事を摂る」「1日3食の規則正しい食習慣」「満腹になるまで食べず腹八分に抑える」「睡眠の前(少なくとも2時間)の飲食を控える」といった一般的な注意事項があります。食事で脂質異常症の予防するには、基本的な食事の注意事項に加えて、コレステロールが高いといわれた人はコレステロールを多く含む食品を控え、中性脂肪が高いといわれた人は砂糖や果物などの糖質とアルコール(飲酒)を減らします。食事で脂質異常症の予防をするには、食事の内容だけでなく量にも注意が必要です。肥満の人は、肥満を解消することが脂質異常症(高脂血症)の改善になります。食事の改善に運動が加われば、より効果的に脂質異常症の予防ができます。
■食事で脂質異常症の予防:食べ過ぎない
美食や過食を避けて、カロリーの摂りすぎをチェックします。
適正体重「標準体重=(身長m)×(身長m)×22」を目標に、適正エネルギー量を摂取します。
適正エネルギー摂取量=標準体重×25~30kcal(1日の適正エネルギー量は、性別・年齢・活動量などで異なりますが、肥満の人では標準体重1kgあたり25~30kcal、そうでない人では30~35kcalが目安です。)
■食事で脂質異常症の予防:コレステロールの多い食品・糖質の多い食品を控える
○コレステロールの多い食品:肉の脂身や霜降り肉、バター、生クリーム、アイスクリームといった動物性脂肪を含む食べ物
○糖質の多い食品:砂糖の多い菓子類(ケーキなどの洋菓子だけでなく、大福や団子などの脂肪分の少ない和菓子も)や嗜好飲料(清涼飲料水)などの食べ物・飲み物です。果物はビタミンや食物繊維が豊富ですが、糖分(果糖)を含みますから、食べすぎには注意が必要です。
■食事で脂質異常症の予防:飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の比は1:1.5~2の割合
肉中心の食生活から、魚や植物性食品中心の食事にします。動物性食品はコレステロールを増やす飽和脂肪酸を多く含みますから、動物性食品を減らして、コレステロールを減らす不飽和脂肪酸を多く含む魚(特に青魚)や植物性食品(豆腐など)でたんぱく質を摂ります。
■食事で脂質異常症の予防:緑黄色野菜、海草、きのこ類を多くとります。
食物繊維は、血管壁へのコレステロールの沈着を予防します。野菜に含まれるβ−カロテンやビタミンCはLDLコレステロールの酸化・変性を防ぎます。
■食事で脂質異常症の予防:アルコール類は控えめに
アルコールを飲み過ぎると、アルコールは体内で中性脂肪(トリグリセライド、TG)になって、高トリグリセライド血症(高TG血症)や肥満の原因になります。また、アルコールを飲み過ぎると肝臓に負担がかかり肝臓の機能が低下して、LDL(悪玉)コレステロールが減少しにくくなります。
運動で脂質異常症の予防
適度な運動で脂質異常症の予防をしましょう。脂質異常症(高脂血症)の予防として、食事とならんで大切なのが運動です。ここでいう運動は、いわゆる有酸素運動です。有酸素運動は、体脂肪(内臓脂肪と皮下脂肪)を燃焼させて、肥満やトリグリセライド(中性脂肪)値の改善に効果的な運動です。運動はリパーゼを活性化しますから、LDL(悪玉)コレステロールを減らしてHDL(善玉)コレステロールを増やします。 また、血行を促進することで血管の弾力をよくしたり血管を拡張するなどして、血圧を下げて、動脈硬化を防ぎます。
脂質異常症(高脂血症)の予防に効果的な有酸素運動はいくつかありますが、だれにもおすすめなのがウォーキングです。最初から無理せずに徐々に運動量を増やして、日常生活に取り込んでしまいましょう。運動をするときの注意事項としては、「体調や天気などを総合的に考慮して必要ならば運動を休む」「運動の前後には軽い柔軟体操やストレッチを行って、ウォーミングアップとクーリングダウンを行う」「運動中は小まめな水分補給をする」などがあります。また、運動を始める前にはメディカルチェックを受けて、どの程度の運動(運動の強さ・時間・頻度など)が良いのか、医師に相談することをおすすめします。
日常生活の中で身体を動かす習慣を心掛けるのも大切です。家事はしっかり行えばりっぱな運動ですし、なるべく階段を使う、駅を一つ手前で降りて歩く、といった日常生活の中の生活活動も運動になります。
禁煙で脂質異常症の予防
禁煙で脂質異常症の予防をしましょう。喫煙(たばこ)は、脂質異常症(高脂血症)や動脈硬化になるリスクを高くするだけでなく、高血圧やガン(癌)・心臓病・脳卒中・肺気腫・喘息・歯周病といった病気の罹患率や死亡率をも高めてしまいます。喫煙するということは、健康さらには生命に関わる様々なリスクを高めることを意味しますし、喫煙者本人だけでなく、副流煙(タバコの煙)による受動喫煙の場合でも、喫煙者と同じあるいはそれ以上のリスクがあるともいわれています。タバコ依存の原因は、タバコの煙に含まれるニコチンです。ニコチン依存は病気です。タバコを吸っている人は、1日も早い禁煙をおすすめします。禁煙することがベストですが、それば無理ならできるだけ喫煙(たばこ)の本数を減らすようにしてください。そして、自力で禁煙が無理そうならば、禁煙グッズや禁煙プログラムを利用するのもよいですし、病院(禁煙外来)に行くのもよいです。自分に合った禁煙方法をみつけてください。禁煙を始めるのに遅すぎるということはありません。
喫煙(たばこ)が脂質異常症(高脂血症)に悪い理由、つまり、禁煙が脂質異常症の予防になる理由があります。たばこに含まれるニコチンは、中性脂肪の原料になる遊離脂肪酸を増やし、交感神経を刺激して血圧を上げて血管を収縮させることで血流を悪くして動脈硬化を進めます。一酸化炭素はヘモグロビンと結びついて血液が酸素を運搬する機能を阻害しますし、血管壁が傷付きやすくします。傷付いた血管壁にLDLコレステロールが入り込みやすくなります。喫煙(タバコ)は血液中のコレステロールを酸化してアテローム性動脈硬化症(粥状硬化症)が進行し、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を減少させて、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増やすことが分かっています。喫煙自体が血栓形成性を高めるともいわれています。
ストレスと脂質異常症予防
ストレス解消は脂質異常症予防になります。ストレスは動脈硬化の危険因子ですが、ストレス自体というよりも、ストレス刺激に対する体の反応が動脈硬化を促進すると考えられています。ストレスが強いと、交感神経を刺激して血管を収縮させて血圧が上がります。また、ストレス刺激は、体内で俗にストレスホルモンと呼ばれるカテコールアミンとコルチゾールという副腎皮質ホルモンの分泌を促がします。その結果として、コレステロール値や血糖値が高くなります。これら作用の他に、ストレスによるアルコールの飲みすぎやドカ食いが、生活習慣に悪い影響を及ぼすこともあります。アルコールの飲みすぎや過食は、中性脂肪やコレステロールの値を高くしてしまいます。
ストレスを完全に避けることはほぼ不可能ですが、まずは無用なストレスを作らない、ストレスを溜め込まない、ストレスは早めに解消することが大切です。日頃からストレスを上手く解消発散する方法を身につけておきたいものです。ストレス解消法にはいろいろあるようですが、例えば、笑うことをストレス解消法としておすすめします。作り笑いでも効果があります。笑うと副交感神経が優位になってストレスホルモンが減少し、大笑いでリラックスすると、自律神経の働きが安定して、軽い運動と同様に血中酸素濃度が増えて、ストレスを軽くすることができるそうです。作り笑いの場合は眼輪筋が動き、更に脳の一次運動野に直結している大頬骨筋が動きますから、脳の血流をよくする効果があるます。森林浴もストレス解消方法になります。植物が放出する「フィトンチッド」効果と、人を心地よくさせる「1/fゆらぎ」効果によりストレス解消に繋がります。森林浴効果は森の写真を見るだけでもあるそうです。視覚的にも癒されるようです。腹式呼吸もストレス解消法におすすめです。ストレスや精神的な問題があると、無意識に呼吸が浅くなりがちで、脳を含めた体全体への酸素供給量が減ってリラックスできない状態になります。これを解消するのが腹式呼吸です。腹式呼吸で血行が良くなり、心身ともにリフレッシュすることができます。因みに、腹式呼吸はダイエットにも効果があるとか。他のストレス解消方法としては、好きな音楽や、ゆったりとした音楽(脳にα波がでるようなリラックス効果のある音楽)を聴いてリラックスする、趣味やスポーツなど何かに打ち込む、週に1日は休養をとるような生活リズムを作る、などのストレス解消方法があります。自分に合ったストレス解消法を見つけてください。
料理方法で脂質異常症予防
料理方法を工夫することで脂質異常症予防ができます。LDLを下げる料理には工夫が必要です。肉はコレステロールが気になる食べ物ですが、肉の種類や部位を選び、調理の仕方を工夫して、コレステロールを摂りすぎないようにしてすることが脂質異常症予防になります。青魚は魚臭いとして嫌がられることがある食品ですが、コレステロールを上げる作用はなく、不飽和脂肪酸のDHAやEPAを豊富に含んでいますから、是非食卓にのせてもらいたい食べ物です。
■LDLを下げる料理の工夫:肉をおいしく、低コレステロールで食べる料理のポイント
肉を食べる時は、ロースなど脂の多い部位を避けて赤身を、肉の種類も牛よりも豚、豚よりも鶏肉、さらにささみを選ぶようにすると、脂質の摂取量を減らすことができます。
○脂肪分の多い肉は、脂肪を落とします。(網で焼く、茹でる、煮る、蒸す)
○脂肪の少ない肉は、片栗粉をまぶしてから茹でたり煮たりして、パサつきを防ぎます。
○調理前につけ汁に漬け込んで、汁けを補います。
○テフロン加工のフライパンで調理すれば、油を使わずに焼けます。
○野菜などと一緒に煮込みます。野菜を多くするとボリューム感がでます。
■LDLを下げる料理の工夫:青魚をおいしく、低コレステロールで食べる料理のポイント
○酸化する前に、新鮮なうちに食べます。
○魚の臭みを取って食べやすくします。
・下味をしっかりつけます。
・香辛料や香味野菜と一緒に調理します。(にんにく、こしょう、しょうが、セロリなど)
・塩や酢でしめます。(脂質・コレステロールを多く含む調味料は避けます)
・牛乳につけます。(内臓を取って調理する30分前に牛乳につけます)
・マリネにします(新鮮な状態で、オリーブ油や不飽和脂肪酸を多く含む植物油を使います)
